推進チームミーティング(第三回)から見えてきた私たちの中にある声
昨日、「U理論入門」の出版記念シンポジウムに向けた三回目の推進チームミーティングが開催されました。
(2/3(月)のミーティングでの一コマ)
参加者は、10名でそのうち1名はスカイプ参加でした。
通常のイベントのミーティングであれば、タスクを洗い出して、それを役割分担し、その進捗を共有する形でミーティングが進められるかと思います。
しかし、このミーティングはUプロセスをベースに進めているので、前半にダイアログを行い、後半は各チームに分かれての具体的な検討の後、全体で検討結果を共有して終わるという構成で行っています。
前半にダイアログを組み入れている理由は、推進チーム自体が3つの複雑性(ダイナミックな複雑性、社会的な複雑性、出現する複雑性)を構造的に抱えているためです。
推進チームメンバーのほとんどは、それぞれ仕事を抱えながら、ボランティアで活動しているために、ミーティングに参加できたりできなかったり、遅刻が発生したり、距離が離れているためにスカイプで参加したりと様々な複雑な事情の中でチーム運営が進められるという点において、ダイナミックな複雑性をはらんでいます。
また、お互いにほぼ初対面同志のメンバーもいたり、遠隔地でスカイプで参加しているメンバーなどは顔も知らないといった状況もあったりするため、人間関係は薄い状態です。
しかも、バックグラウンドや経験の差がありすぎるため、仕事の進め方や何を大事にするのかは、バラバラで社会的な複雑性は高くならざるを得ません。
もっと言えば、ミーティングに参加できたり、できなかったりするために、話し合いの文脈にどうしても差が生じたり、作業がうまく進まず、気分が落ち込んでいる人もいれば、楽しくてワクワクしている人もいるといった形で、社会的な複雑性が起こることもあります。
今回の取り組みの中では、出現する複雑性はもっとも現れている度合いは小さいですが、バックグラウンドが様々な人たちが混成チームとなって進んでいくプロセスの中で生じる一つ一つは、出現する複雑性の要素を含んでいるといってもおかしくはありません。
そんな状況があるので、イベントのゴールに向けてただ、役割分担してディスカッションだけで物事を進めようとすると、ミーティングに多く参加している人にだけに作業が集中するだけでなく、ミーティングに参加できていない人のケアまで、参加している人がしなければいけない形になり、疲弊していくことになります。
結果、仮にイベントが大成功に終わったとしても、「二度とこんなことはやりたくない!」という持続可能性の乏しいプロジェクトとなってしまいます。
それを超えていくためにも、ダイアログは欠かせないプロセスなのです。
では、ダイアログとはいったいどんなことをやっているのか。
単におしゃべりをしているわけでは決してありません。
先週一週間から今週にかけて生じた事象の中で、印象に残っていることをシェアし、その出来事が私たちの今をどんな風に表しているのかを探求していきます。
昨日の話し合いで見えてきたのは、推進チームの中で起きているのは、
「思うようにいかず、自分にがっかりしている」
という声と
「まあ、別にそんな気にしなくていいじゃん」
という声の二種類が私たちの内側に存在しているということでした。
しかもそれは、どちらの声がより強いかはその人の状況によるものの、そのどちらの声も一人一人の中でもこだましているものでした。
そこから見て見えてきたのは、
「あれから三年」というコンセプトで行おうとしている今回のシンポジウムと照らし合わせてみたとき、
「まあ、そんなに気にしても仕方がないじゃん」とその気持ちに蓋をしながら、前進してきたのではないかということでした。
もし、そうだとしたらその二つを統合し、次のステージを迎えるポイントは何になるのか。
それもダイアログから出現したことで、その扉が開かれていく予感がしました。
そのカギは一体なんだったのか。
それは、シンポジウムでのダイアログの中で皆さんと一緒に共有できればと思います。